- 作成: 佐藤美樹(民主党大学3期生・米国公認会計士)
- 作成日:2009年6月
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はじめに
特定非営利活動促進法が制定されて、11年目を迎えた。NPOとして登録する法人は、内閣府で認証される法人だけみても1か月に10~20前後のペースで増えている。※1
NPOはその事業内容が17活動に限定されることもあり、金融機関等から大口の融資を受けるようなイメージがないが、その現状と課題について述べていきたい。
※1.2009年4月認証:21法人・2009年5月認証:14法人(内閣府)
現状
金融機関等によるNPO融資:
金融機関による融資としては、労働金庫の「ろうきんNPO事業サポートローン」を始め、信用金庫や地方銀行、国民生活金融公庫のものなどが挙げられる。
また、金融機関による融資以外に、地域社会や福祉、環境保全のための活動を行うNPOや市民団体、個人などに融資することを目的として設立された小規模の非営利バンクとして運営されている「NPOバンク」がある([1])。
融資内容の一例を挙げると、例えば労働金庫の「事業サポートローン」では、500万円以下であれば無担保(「つなぎ融資」の場合は500万円超でも対応あり)で年利2.475%(変動金利)で扱っている([2])。また、NPOバンクである「東京市民バンク」では、原則物的担保なしで設備資金(700万円以内)や運転資金(500万円以内)に対して長期プレイムレート適用の融資を実施している([3])。
経済産業研究所のNPO法人調査(平成18年度)によると、借入残高のあるNPO法人は、全体の借入残高のあるNPO 法人は全体の23%にとどまり、そのうち金融機関からの借り入れは31.5%、地方自治体からの借り入れは0.7%に過ぎない。借入残高は500 万円未満が約60%と少額である。
資金の目的としては「国や自治体、助成財団等の助成金交付まで」といったいわゆるつなぎ資金としての融資をうけるケースが多い(※2)。金融機関にしてみれば、つなぎ資金の融資は、返済財源が確実にあり、融資期間もだいたいは短期間なのでリスクが低く貸しやすいといえる。
支援組織:
NPO 法人の急増と歩調を合わせて、NPO 中間支援組織が全国各地に設立されてきた。
日本NPO センターによれば2009 年6月1日現在、「NPO 支援センター」は全国の支援センターは286 ある([4])。
これの支援組織は、NPO 法人設立に関する相談受付や助成金に関する情報提供、会計・税務などの講座開催、会議スペースの提供などの定型的な支援が中心で、個々のコミュニティビジネスを総合的に経営支援・指導し育成することはほとんど実施していない。
融資に関していえば、融資元の金融機関を紹介するケースはあっても、融資にかかわる経営支援となると実績はないのが現状である。
その理由としては、支援組織側の専門家も含めて、まだNPO融資に対応した経営支援のノウハウが蓄積されていないことがあげられる。
考察
事業資金を金融機関等から調達するケースもみられるようになったが、まだその融資件数自体は極めて少なく、資金の使途も多くはつなぎ資金などに限られている。
NPO の融資需要が少ない原因は、金融機関、NPO、支援組織それぞれに存在する。
- 金融機関はNPOの融資需要を開拓する積極性を持たず、受け身の対応に終始している点
- NPOについては、経営の能力や自覚に欠ける、あるいはお金を借りて事業を行う意欲や必要性がない点
- 支援組織や専門家の多くは、個別のNPO に対する本格的な経営支援やコンサルティングを行うだけの力量が備わっていない、あるいはNPO の経営についての理解が足りないと言われて いる。(※2)
NPO融資が今後増えていくためには、NPO、金融機関、そして支援組織の3つの関係団体それぞれの課題・問題点を解決していく必要があるといえる。
※2.『NPO 融資に関する聞き取り調査結果の報告』(2009年4月、明治大学経営学部 小関隆志)
